今回は,このBLOGでもおなじみの茨木保先生(現役医師)の作品。「看護の母」「クリミアの天使」と呼ばれるナイチンゲールの伝記漫画です。
 
茨木先生の作品の紹介BLOG過去記事はこちら
 
過去記事→医師を目指すお子様が小6までにぜひ読んで欲しい!「まんが医学の歴史」
 
過去記事→「がんばれ!猫山先生」勤務医の奮闘ドタバタがとても楽しい4コマ漫画
 
過去記事→「まんが人体の不思議」ボリューム満点で医学マンガの決定版!もちろんギャグ要素も満載です。
 
 

ナイチンゲール伝


 
大人向けの書籍です(小学生高学年でギリギリ読める内容)。何よりマンガの割に非常に文が多く,難しい言葉も多いので小学生低学年の方にはあまりおすすめできません。
 
私自身,人並みにナイチンゲールの知識を持っていただけで,小さいときにヘレン・ケラーなどと同時に伝記を読んだ記憶しかなかったのですが,この伝記マンガはただの偉人伝記ではないと感じました。
 
一般的に美談や偉業などが多く注目されがちな,よくある伝記の構成に対して,この作品では良い意味でそれらを裏切ってくれます。
 
「白衣の天使」のような,あこがれや聖職者的なイメージがかなり先行していますが,フローレンス・ナイチンゲールの光と闇(ダークサイド),偉業と苦悩,こういったことがまざまざと示されています。
 

スパイダーマンのようです^^;
ナイチンゲールはとにかく狂気的で,寝たきりになりながらも,改革のためにヒステリックに書籍を残します。。。。
 
伝記なので,幼少期から当然描かれており,一般的な伝記には描かれていない彼女の行動原理となるものが分かります。
 

幼少期は数学少女。統計学者の一面も持つナイチンゲール

ナイチンゲールの詳しいことは,この書籍をご覧いただくのが最も良いと思います。
 
私が特に興味を持ったことだけ紹介させていただきます。
 
ナイチンゲールといえば,クリミア戦争に従軍した話や,看護の覚え書(心得のような書籍),看護学校の設立などが一般的です。
 
ナイチンゲール式とよばれる病院設計にも携わっており,例えば,ナースコールも彼女のアイデアのようです。
 

その他にも患者の衛生を第一にした数々のアイデアがこのマンガに図で解説されています。
 
また幼いときから数学が得意で,当時の女性としては非常に珍しく,心が乱れたときは数式を書いて心を和らげたそうです。現代でもストレス発散で数学をする人は超少数派ですが。。。
 

数学の才能は統計学で活かされます。
ナイチンゲールは統計学者としても有名で,戦争での兵士の病気での死亡原因をデータで究明したと言われています。
 
そういった統計データを視覚的に訴えかけるために,バッツ・ウイング(こうもりの翼という意味)と呼ばれる図グラフを考案したようです。
 

(参照サイト)


 
こういったナイチンゲールの数々の偉業はもちろんのこと,苦悩や心の闇(ダークサイド),行動原理のよく分かる傑作でした。
 

上本町の算数教室の本棚も気がつくと茨木先生の書籍でかなり占めてきました。
 
一番左の猫山先生の2巻は,いつも茨木先生の本を貸していただいている生徒さんから新たにお借りしたものです。去年の12月から借りており,まだ全て読み終えていないので今月中には返却したいです^^;。