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最近,読書ネタが多いですね^_^;
本棚やkindleアプリからBLOGで紹介できそうなものをいろいろ探している始末です。そして見つけました「博士の愛した数式」を!今まで紹介していなかったのが不思議なぐらいです。
 

数学者と少年&母親の対話式数学!とりあえずハンカチをご用意下さい!

云うまでもない名作でしょう。国民的作品で,2004年の作品で第1回本屋大賞受賞,100万部突破,2006年には映画化もした超ヒット作ですね。
80分しか記憶の持たない数学者の「博士」と,家政婦として派遣された主人公の女性,その息子で小学5年生の「ルート」の3人の,心のふれあいを描いたほのぼのした作品です。
 
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博士との会話の中で,とても分かりやすく数学の美しさ・奥深さに触れることができます。これがこの作品の最大の面白さでしょう。といっても,それほど難しい数学の内容でないので,中学生や小学生でも十分理解できると思います。友愛数,完全数,素数,双子素数,三角数,オイラーの公式,… などが,分かりやすく登場します。難易度的には,以前ご紹介させていただいた数の悪魔と同じようなものだと思います。
 
眠れない夜は悪魔と算数レッスンはいかがですか?謎解きのようなファンタジー小説「数の悪魔」
 

感動・数学・タイガース!?この作品の3つの魅力です!

全体的にほのぼのした内容ですが,終盤に差し掛かって特に感動を誘います。少年だったルート君が博士と再会したラストシーンでは涙が止まりません(>_<)   そして,物語の大切な軸の1つになっているのが阪神タイガースです。生粋のタイガースファンの方はさらに読み応えがあるものではないでしょうか?何かとタイガースの話題に触れ,往年の名選手のこともいくつか登場します(背番号など)。私も,幼いときは阪神のキャップをかぶっていたのを懐かしく思いました(笑)   さて, 5年生以上からでも読める内容だと思いますので,小学生の読書としても当然オススメできます。詳しく調べてはいませんが,おそらく推薦図書とかにもなっていたと思います。 数学の難しい言葉も登場するのですべては理解できないかもしれませんが,将来的を見越して,少しでも数学の興味・関心につながると思います。
 

博士は文章題でいちばん大事なことをルート君に語っていました!

小学5年生のルート君と博士のやり取りがホント好きです。
疑問を投げかけ,間違ってもいいので考えさせ,子どもの意見を尊重し,次の疑問を投げかけ,… これのくり返しです。
 
そして,文章題の攻略でとても大切なことを,博士はルート君に教えています。

博士「問題にはリズムがあるからね。音楽と同じだよ。口に出してそのリズムに乗っかれば、問題の全体を眺めることができるし、落し穴が隠れていそうな怪しい場所の見当も、つくようになる」

博士はルート君の宿題を見てあげていたのですが,どんな問題でもとにかく音読するように指示していました。

ルート「ハンカチ2枚とくつ下2足を380円で買いました。同じハンカチ2枚とくつ下5足を買うと710円でした。ハンカチ1枚とくつ下1足の値段はそれぞれいくらでしょう」

オーソドックスな消去算の問題ですね。

博士「さあ、まずどこに目を付けるかだ」
ルート「うん、ちょっと難しいよ」

ルート君は苦戦します^_^;

博士「確かに、今日の宿題の中では一番の曲者かもしれん。しかしさっき君は、実にうまく音読したね。この問題は三つの文章から成り立っている。ハンカチとくつ下が三回ずつ出てくる。×枚、×足、×円、×枚、×足、×円…… この繰り返しのリズムを、的確につかんでいた。味気ないドリルの問題が、一篇の詩のように聞こえたよ」

どんなときでも博士はルート君を褒めます。
そして,消去算に苦戦するルート君に絵を描くことを提案します。

ルート「くつ下を5足も描くのは手間がかかるよ。この人、ハンカチの枚数は変えないで、くつ下だけ増やしたんだ。僕のもだんだん、芋虫みたいになってきちゃった」

算数星人も描いてみました(^^)
 
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もちろんどの問題に対しても,この方法が有効とは限りませんが,まず状況を把握するためには,しっかりやっておくべき思考の準備作業ですね。

博士「いいや、立派なものだよ。ルートの言うとおり。くつ下が増えた分だけ、値段も高くなったわけだ。いくら高くなったか、計算してみよう」
ルート「えっと…… 710引く380だから……」

ルート君はくつ下を描くのを面倒に感じ,これがきっかけで,くつ下3足の差に気づくことができたのです。
 
また,博士は計算に対しても次のように語りました。

博士「筆算の跡も、消さずにきちんと残しておく方がいい」
ルート「いつもは、いらない紙の裏で、ごちゃごちゃっと計算するんだ」
博士「どんな式にも、どんな数字にも意味があるからね。大事に扱ってやらなくちゃ、かわいそうだろ?」

当たり前のようで,すごく大切なことです。筆算を残しておくことは。ミスが多い子はノートの隅とかにゴチャゴチャ計算しがちです。。。自らミスを起こす状況を作っていると言わざるえません。
 
ギアが上がってきたルート君は少しずつ答えに近づいていきます。

ルート「順番に、一個一個式にしていってもいい?学校の先生は、一つの式にまとめないと怒るんだ」
博士「間違えないように、慎重にやっているのに怒るなんて、おかしな先生だな」

博士の言うように1つの式にまとめることにこだわってはいけません。この段階では理解することが最優先です。壁に当たるような問題では,まずは本人の解き方を尊重して,計算を慎重にすることを促す方がよいでしょう。
 
学校現場では,かけ算の順番を逆にするとテストで不正解になったりと,最近いろいろ話題になりましたが。。。
これ以上話すと,どこかから非難を浴びるかもしれないので,一旦ここで抑えておきます^_^;
 
とにかく,博士とルート君の対話で重要な方法論が登場したのでまとめておきます。
 
1.文章題は音読が大事!(低学年)
2.イメージできない場合は絵を描く(低学年)
3.計算は丁寧に!慎重に!跡は残しておく!
4.お手本のような式よりも,まずは自分なりの解き方を尊重する

 
中学受験の勉強をスタートしたばかりの小学2~4年生には,上記がそのまま有効かと思います。
 
また,指導者やご家庭によって色々な価値観があるかと思いますが,褒めて伸ばすことは,勉強に興味を持ち始める段階では大切だなと改めて感じました。