今回は統計に関する小学生向きに書籍をご紹介いたします。
ビッグデータという言葉をよく耳にするようになってきましたが,現代人やこれからの社会にとってはますます切って切り離せない分野になってきたのが統計学です。
コンピューターの進歩によって,生活にも身近になってきました。
いっけん難しそうな統計学ですが,これを小学生でも分かるようにまとめた書籍を発見しましたのでご紹介させていただきます。
この「子供の科学-ミライサイエンス」のシリーズは,他にもAIの話など色々とあります。
教室に新しい本がいくつか追加されました(^^) pic.twitter.com/lWhlMH2bRB
— 算数星人 (@sansu_seijin) 2018年9月19日
教室にも「コンピューターってどんなしくみ?」があります。こちらは現在生徒に貸出中のため,また後日(いつか)BLOGで紹介できばと思っております。
ちなみに,算数教室での本の貸し出しは1名につき2冊までです。
むずかしい統計をわかりやすく
この本はまず第一に説明が非常にわかりやすいです。図が多く登場するのはもちろんのこと,文章も小学生が分かる言葉でていねいに解説されています。
特に,イラストがわかりやすく,質問役のネズミと解説役のネコが良いやり取りをしてくれます。
そして問答無用に可愛いのです。色使いやその他イラストも非常によく,算数の解説を書いている身からすると色々と見習いたい表現も多いです。
塾の模試の成績で何気なく使っている偏差値ですが,これに関しても非常に分かりやすい解説が用意されています。
中高数学でも習うような統計の話です。これを読んですぐ統計の理解が深まるとは思いませんが,今まではなんとも感じなかった身近な統計に関して興味を持っていただければ幸いです。
色々な経済誌などにも書かれていますが,統計学をあやつるシゴトが今後ますます必要(新たに登場)となってくるのは明白でしょう。
有名なモンティー・ホール問題も
数学好きでは知らない人がまあいないでしょうか。
かの有名なモンティー・ホール問題についてもこの本では見開き1ページで紹介されていました。
しっかり読み込めば小学生でも理解できるように書かれています。
とてもわかりやすい解説です。(P138-139に掲載)
モンティー・ホール問題とは
1960年代のアメリカのテレビ番組で行われていたあるゲームが題材になっております。そのテレビ番組の司会者がモンティー・ホールさんです。
どんなゲームかというと,
3つの扉があり,その中にはアタリが1つ,ハズレが2つそれぞれ扉に隠れています。アタリがスポーツカーなどの高級車で,ハズレはヤギだったそうです。
プレイヤーは扉を1つ選び,それを開き,扉に入っている商品を当てるゲームです。
ハズレのヤギを選んでしまった場合は本当にプレゼントされたかどうか知りません。
いうまでもなく,3つのうち1つがアタリなので,確率は3分の1のゲームですね。
ゲームはこれで終わりません。
プレイヤーは扉をどれか1つ選び,その後プレイヤーが選ばなかった残り2つの扉のうち,司会者(アタリの場所を知っています)が一方のハズレの方をヒントで開けます。
なんとここでプレイヤーは扉を再び選び直す権利をもらえます。
あなたなら扉を選び直しますか?
それとも最初に選んだ扉を選びますか?
最初に選んだ直感を信じますか?
最終的に2つの扉のうち1つがアタリになったので,確率は2分の1に変化したと直感しますが,実はこの考えが間違っており,それに関して1990年代に議論へ発展します。
その発端になったのがマリリンという天才女性です。
マリリン・ボス・サバント
ギネスブックに最も高いIQ認定されたアメリカのコラムニスト。
読者からの質問(パズルや政治,人生相談など)に彼女が答える「マリリンに聞く」のコーナーで「モンティ・ホール問題」について質問があり,彼女のびっくりするような指摘が反響を呼びました。
「扉を変更すべき。扉を変更した場合には景品を当てる確率が2倍になる。」が彼女の意見です。
マリリンの回答に関して全米や世界中の数学者から反論がありました。今でいう炎上騒動のようです。。。
そういった反論を彼女はすべて言い負かしました。
コンピューターを使った統計や,扉を100万に増やした例などで検証し,彼女の意見が正しいことが判明しました。そういった議論が今日の確率論のよくある題材になったのです。
扉を変更した場合に確率が2倍になる理由に関してはこのリンク先がわかりやすいでしょう。
数学を勉強してきた方なら一度は疑問に思う有名な問題です。この本を読み,過去に自分も悩んだことを振り返りました。
ちょっとした数学小話でした。