新連載企画「小学生でもわかる塵劫記」の第2回目です。
 
前回の記事→【和算】第1回「俵杉算」小学生でもわかる塵劫記-じんこうき-
 

第2回は「入れ子算」というものを扱ってみたいと思います。
 
現在,塵劫記を順番に読んでいるのですが,興味のあるページ,受験に少しでも役立ちそうな知識のみを取り上げていきます。どれほどの項目があてはまるのか決定していませんが,少しでも参考になりそうな記事を作っていきたいです。
 

入れ子算(和に関する問題・等差数列や分配算のようなもの)

 
入れ子算(いれこざん)
 
入れ子とは,同じ形で大きさの異なる容器などを順に中に入れたものを指します。
 

ロシアのマトリョーシカ人形も入れ子構造です。
 

大きな鍋の中に小さな鍋を入れることができ,収納に便利でなアイテムです。
塵劫記では,入れ子鍋に関する問題として用いられています。
 
 

「7つの入れ子鍋を銀21匁で買うとき,入れ子1つにつき6分(0.6匁)ずつ値段が小さくなります。最も小さな鍋は何匁ですか?」
 
匁とは重さを表す単位です。1分とは10分の1のこと,つまり1分=0.1匁とここではいえます。
 
-塵劫記での解き方-

中学入試でもよくあるタイプの問題です。
 
このように線分図などを書いて考える場合もありますが,個数が多い場合を想定して平均を求めて考える方法をよく指導します。
 
この問題の数値では,
 
21÷7=3匁 …真ん中の鍋(4番目の大きさ)
3−0.6×3=1.2匁 のように求めるとよいでしょう。
 

今回,()括弧を使って解説を書いていますが,塵劫記では()括弧は出てきません。
 
 

「1升鍋,2升鍋,3升鍋,…,8升鍋の8つの入れ子鍋があります。これを銀43匁2分(43.2匁)で買うとき,最も小さな鍋は何匁ですか?」
 
升とは容積の単位で,鍋の大きさを表します。2升鍋は1升鍋の2倍,3升鍋は1升鍋の3倍,…のように比例になっているのが前提条件です。
 
-塵劫記での解き方-

①+②+③+④+…+⑧=43.2匁
この丸数字計算ですぐ解けるでしょう。
 
2つの問題の答えが同じになるのが粋ですね(^^)
 
<P103-105 二目録 第一「入子ざんの事」を参照>
 

「塵劫記」岩波書店


 
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(ソース)阪本龍門文庫善本電子画像集
 
 
つづき【和算】第3回「からす算」小学生でもわかる塵劫記-じんこうき-