今回はおすすめ図書のご紹介です。
 
このBLOGでは新企画としてスタートしています「小学生でもわかる塵劫記(じんこうき)」の外伝のような記事でしょうか。
 
上本町の算数教室の本棚では,推薦図書のような扱いで陳列している書籍でもあります。
くもん出版からでているもので,ふりがなもされており非常に読みやすく,内容的には4年生以上などであれば理解できるものでした。
 
かつてご紹介させていただいた,こちらの本もくもん出版の同じタッチの書籍です。
(参考記事)江戸の天文学者 麻田剛立「月のクレーターを見た男」月にあるクレーター・アサダとは!?
 
 

円周率の謎を追う


 
副題として「江戸の天才数学者・関孝和の挑戦」。
 
日本の歴史で最も有名な数学者 関孝和に関する書籍です。
 

関孝和
江戸時代の和算家(数学者)
代表的な著書に発微算法
和算が中国の模倣を越えて発展する重要な役割を果たした功績(点竄術-てんざんじゅつ-など)
弟子たちが関流として引き継ぎ,死後も関流としては発展した
のちに算聖と称される
 
 
この話の主人公は関孝和です。もちろん関孝和に関しては,現代でも判明していないことも多くストーリ仕立てなお話です。
 

当時の円周率は3.16でした

武家の次男として生まれた関孝和(旧姓内山)は,青年期,何よりの和算好きでした。その関孝和がいろいろな出会いをきっかけに,和算をより深く学んでいき,の功績となる発見をしていく伝記チックな物語がだいたいの流れです。
 
塵劫記(じんこうき)は当時の算術の教科書のようなものでしたので,もちろん登場してきます。
 

孝和がある算額の問題がきっかけで,当時円周率が3.16と計算されていたことに疑問を持ち,大坂への留学など色々な経験で算術の才能を開花させていき,より正確な円周率の計算に挑んでいくことになります。
 
ちなみにこの3.16は10の平方根√の3.1622…から来ているといわれています。
 

小学校では円周率を3.14と習い,
直径×円周率=円のまわりの長さ が成り立ちますね。
 
ざっくりと,円周率の計算方法を説明すると,
円の中に正N角形を作り,その正N角形のまわりの長さを直径の長さで割ったときの答えが円周率です。
Nをどんどん大きくすると円に近づき,円周率が正確になっていきます。
 


この本では,円の周上に針を刺していき,それに糸を書けて長さを測って確かめていく場面もありました。
 

正多角形の辺の長さを測るのに,世界的にもいろいろな計算方法が編み出されていくのですが,関孝和は正131072角形を用いて11桁まで算出し,当時小数第16位までの近似値を計算できているといわれています。
これは,エイトケンのΔ(デルタ)乗加速法と言われる方法と同じで,それよりも約200年早く計算できていたといわれています。
 

何事にもまず疑問を持つことは大事!

江戸の塵劫記は非常に優れた算術書で,当時,身分問わず多くの江戸市民などに読まれたそうです。
 
BLOG記事でも塵劫記を紹介しておりますが,教科書の役割をしている塵劫記には,なぜこのような計算になるのか?などの説明はほぼありませんでした。
 
例えると,便利な公式だけ載せている参考書のようなものです。
 
あるレベルの問題を解くだけではその公式を覚えているだけで大丈夫でしょう。中学受験の現場でも,いくつかの公式に関しては小学校の範囲で説明できないものもあり,公式の成り立ちなどを指導しない場合も一部あります。
 
しかし,そういった学習には必ず限界があり,あるレベルを越えた学習や試験には全く太刀打ちできません。思考力重視の近年の受験傾向からすればまさにそうでしょう。
公式や定理の背景になっていることをしっかり学んでいくことが算数の学習では何より大事です。
 

関孝和も,塵劫記を用いて算術の基礎から学んだのですが,なぜ円周率が3.16なのかを疑問を持っていたようです。
 
何事にも絶対に正しいといえることはなく,疑問を持ち検証していくことが大事です。そうやって知力がより高まっていくのです。もしくは科学者はそうやって新しい発見をみつけていくのです。
 
この本を読んだ小学生も,参考書などに書かれいることを鵜呑みにしすぎず,覚えたからよいと思わずに,なぜ?を大事に真理を迫る学習姿勢を身につけることを心がけるとよいでしょう。
そういう生徒が,算数や理科が得意になるケースが多いと思います。
 

現在の円周率は約31兆桁!!

小学校では円周率は3.14で習い,これが途方にもない桁まで続いていることは大半の小学生がご存知だと思います。
 
よく暗記の達人が何桁まで覚えているかを競う大会などもありますね。
 
円周率
π=3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 41971 69399 37510 58209 74944 59230 78164 06286 20899 86280 …(小数第100位まで)
 
円周率はスーパーコンピューターを使って計算されており,発展目まぐるしく,今なお円周率の桁数がどんどん判明されていっています。
 
いま現在の世界記録はご存知でしょうか?
約31兆4000億桁が計算で求められております。
 
ニュースになりましたが,これまでの記録を塗り替えたのがグーグル社の日本人女性エンジニアのエマ・ハルカ・イワオさんのチームとのことです。(2019年3月14日の円周率の日に記録更新とのこと)
 


 
関孝和がエイトケンよりも200年早く16桁まで円周率を発見できたことと同じように,日本出身のエンジニアが円周率の世界記録を達成したのは誇らしいことですね。
 
31兆4000億。。。なかなかピンとこない数ですね^_^;
 
ちなみに教室ではこんな本もおいております。
 
 

円周率1000000桁表


 
 
 
ひたすら円周率が書かれているだけの本です。
 

なぜこんな本を出されたのか,良い意味で狂っています。。。
 

ちなみに料金は314円です(^^)
 
 
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