新連載企画「小学生でもわかる塵劫記」の第8回目です。
 
第1回「俵杉算」
第2回「入れ子算」
第3回「からす算」
第4回「盗人算」
第5回「百五減算」
第6回「ねずみ算」
第7回「薬師算」
 

 
今回はいつもの○○算というタイトルではありません。
 

立木の長さをつもる事

 
立木の長さをつもる事
 
「立木」とは地面に立っている樹木のことです。
 
「つもる」は見積もるという言葉があるように,見当をつけるという意味です。
 
木の高さの見当のつけ方が塵劫記に示されていますのでご紹介したいと思います。
 

これは,そまなどはかくのごとく,うちまたより木のすえを見申候て,さて,それより木の本まで打ちて,長さをいう也。


杣人(そまびと),木こりが木の高さを調べる(木を登らずに)方法です。
 
このような姿勢をします。
 

腰のところで上半身を曲げて地面すれすれのところから股の内側から木の先端を覗くようにします。
 
腰は直角を保つようにします。
 

頭(目)の位置から水平方向に木の場所までの距離が2.7mだったとき,木の高さは2.7mだと見当がつきます。
(塵劫記では七間半と表記)
 

この姿勢ですが,上半身と下半身がほぼ同じですので,腰を直角に曲げると直角二等辺三角形ができます。
 

木の先端や目を結ぶと大きな直角二等辺三角形ができるので,
 
木までの距離=木の高さ
 
これがおよそ等しいと言えます。
 

鼻紙とおもりを使う方法

 

法に,はながみを四かくにおりて,又すみとすみとをおりて,下のすみに糸にて小石にておもりをつけて,かくのごとく下のすみより上のすみまで見通し,木のすえを見申候て,さてそれより木の根まで七間あれば,又居たけを半に入申候也。


このような道具を使う方法です。
 

木こりの持っている道具ですが,正方形の鼻紙を半分に折り,直角二等辺三角形を作り,糸におもりをつけて水平を保つようにします。
 

この方法でも直角二等辺三角形ができるので,木の高さの見当をつけることができるということです。
 
 
 
 
<P194-196 三目録第三「たち木の長をつもる事」を参照>
 

「塵劫記」岩波書店


 
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